初心者トレーダーのための株入門〜口座開設前に最低限知っておくこと〜
2022年03月15日
近年では老後資金問題などにより、資産形成から資産運用へ、歩みを進めたいと考えている方が増えているそうです。しかし、投資に興味はあるものの、中々踏み込めないとお悩みの方も少なくないはず。
その理由として挙げられるのは、元金を用意することが難しい点や、知識が乏しく参加するに至らない点など。とりわけ後者を不参加の理由に挙げるケースが多く、まずは十分な知識を蓄えたいと考えている方が多いと考えます。
本記事では、株式に焦点を絞り、初心者が抑えておくべきポイントや基本的な情報についてわかりやすく紹介していきます。投資を始めることに躊躇している方にとって役立つ内容になっていると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
・株式とは一体何か?
・株式を購入する方法
・証券会社の選び方
・購入する株式を選ぶ際のコツ
目次
・1-1 株式とは?
・1-2 株式を持つことで得られる権利やメリットについて知ろう
・2-1 証券会社を選ぶポイントとは?
・2-2 口座開設の方法を知ろう
・2-3 口座開設のメリットはある?
・3-1 購入する株を選ぶコツ①〜自分の知識に頼る〜
・3-2 購入する株を選ぶコツ②〜成長株・割安株から選んでみる〜
・3-3 購入する株を選ぶコツ③〜株式市場をチェックする方法〜
そもそも「株式」って一体何?
株式とは?
株式投資の仕組みや方法を知る前に、「そもそも株式とは何か?」について説明しておきましょう。株式とは、簡単に言うと会社が株主から集めた資金に対して発行する証書のことです。
事業の規模にもよりますが、銀行の融資だけでは運転資金が賄えない場合、株式会社は投資家から資金を調達することができます。そして、株式を買うことで資金を提供した株主は、会社の利益のうちの一定割合を分配されることで利益を得ることができるのです。
株式を持つことで得られる権利やメリットについて知ろう
前でも少し触れましたが、株主には様々なメリットや権利を得ることができるのです。ざっくり紹介すると、以下4点がそれに該当します。
①会社が得た利益の一部を受け取ることができる
②株式の値上がりによる利益を受け取ることができる
③株主優待を受けられる
④株主総会に参加できる
それぞれ解説していくと、①は会社の業績が良く利益が出た場合、その一部を還元してくれるというもの。基本的に1株あたりいくらという形で支払われることになるので、当然のことながら持株数が多ければ多いほど得られる配当金も高くなります。逆に業績が悪い場合は一円も受け取ることができません。
②は会社の株式が値上がりした際、つまり、前記した様に利益が出た場合に持っている株式を売却することで利益を得られるというもの。噛み砕くと、購入額より1株あたりの価格が高くなっていれば、売却時にその差額分得するということです。これこそが株式投資の醍醐味と言えるでしょう。
そして③の株主優待は、会社が株主に対して自社サービスや商品などを提供してくれる特典のことです。全ての企業が行っているものではないので、購入前に確認しておくことが大事です。また、保有株数によって特典の有無や内容が異なるケースが多いので、こちらも確認しておく必要があるでしょう。
さらに直接利益を得る以外にも、株主のメリットがあり、それは株主総会に参加できる点です。果たしてこれがメリットと言えるかどうかは個々で価値観が異なるかと思いますが、会社に投資をするということは、その会社の将来性や経営方針に何らかの光明を見出すことができているからこそです。
つまり、持っている株式の価値を下げない為にも、経営方針や新しいサービス・商品に対して思うことをぶつけてもよいということ。会社の価値を上げる為に進言できる権利を持っているというのは、メリットと言ってもよいのではないでしょうか。
なお、以下の記事では株式投資と投資信託の違いについて解説していますので、合わせてお読みいただけるとどちらが自分に合っていそうか参考にしやすいと思います。
投資信託と株式の違いを徹底比較!どちらが向いているかの判断基準も紹介
どこで?どうやって?株の買い方について知ろう
証券会社を選ぶポイントとは?
株式がどういうものなのかがわかったら、次は購入する方法について紹介していきます。
ご存じのように株式は、そのへんにあるお店でおいそれと購入することはできません。購入できる場所は『証券会社』のみになります。しかしながら、証券会社は一社だけでなく数多く存在している為、一体どこを選べば良いのか悩ましいところですね。まず選ぶ基準とすべき項目を書き出してみると・・・
①手数料の安さ
②取り扱う商品の数
③使い勝手の良さ
④特典の多さや内容
以上4項目が挙げられます。
①から順番に解説していくと、まず株式を売買する際には『手数料』がかかります。なぜなら株式は企業から直接購入するわけではなく、必ず証券会社を経由する必要があるからです。例えばそれは、住まいを購入または借りる場合に不動産会社を経由することと同じ仕組みと言えばわかりやすいでしょう。そしてその手数料は全社一律ではなく、証券会社ごとに異なります。つまり、少しでもお得に株式を購入するために、手数料の安さは重要な基準となるわけです。
次に②取り扱う商品の数ですが、これも証券会社ごとに異なります。数が多い方が選択肢は広がるとは言え、重要なのは買いたい銘柄があるかどうかでしょう。ひとくちに株式と言っても、外国株や新規公開株など種類や数は様々です。つまり、証券会社を決める前に、欲しい株式をあらかじめ決めておくとスムーズに購入できるでしょう。
さらに証券会社ごとにサービスや使い方(スマホやタブレットで購入する際の操作等も含みます)も異なります。口座を開設する前は、ネットで『証券会社 使いやすい』といったワードで検索し、レビューを覗いてみるのがオススメです。
もう一つ基準とすべき点は④に挙げた『特典の多さや内容』でしょう。
銀行で口座を開設する際に様々な特典がある様に、証券会社もまた同様です。手数料をキャッシュバックしてくれるところや、口座開設することで現金がもらえるサービスを行っているところも少なくありません。抽選で特典を得られるところもあれば、漏れなく全員に特典を振る舞う証券会社もあるので、選ぶ際はキャンペーンがあるかどうか、さらにその内容もチェックしてみるとよいでしょう。
【2023年最新版】ネット証券手数料比較!お得感のある5社を紹介の記事では、上記でご紹介した「手数料」「サービスの良し悪し」等を総合的に比較しておすすめの5社を紹介しています。
口座開設の方法を知ろう
意中の証券会社が決まれば、やることはただひとつ『口座開設』に他なりません。
投資初心者が一番苦戦するところかもしれませんので、しっかりと流れを知っておく必要があるでしょう。やるべきことを順番に解説すると、以下の様になります。
①口座開設申込書を請求する
②申込書に必要事項を記入・署名・捺印後に送付
③審査を経て口座開設完了
文章にすると簡単ですが、意外と細かい作業が必要なのと、準備する書類がいくつかあるので抜け漏れの無い様に準備しておきましょう。尚、必要となる書類は概ね以下にまとめた通りになります。
<口座開設時に必要となる書類>
・マイナンバー確認書類(マイナンバーカードや個人番号記載の住民票など)
・本人確認書類(運転免許証、各種健康保険証、各種年金手帳、パスポート等)
・印鑑
・金融機関の口座が確認できるもの(通帳等)
ちなみにここでは、株式に関する情報をまとめて紹介しているので、一般口座または特定口座を開設する際の話になることを前提としています。また、ネットでやり取りする際は、申込書のテンプレートをダウンロードし、印刷した後に署名・捺印という流れになります。最終的に証券会社の事務局宛にそれらを送付するケースもありますが、最近ではWeb上で本人確認まで完結できるところも増えてきているようです。
口座開設のメリットはある?
前記した様に、口座を開設する証券会社には、それぞれサービスや取り扱う商品が異なります。ということはつまり、口座を開設する証券会社次第で運用スタイルや得られる恩恵が異なってくるということになります。これは上級者向けのテクニックになるのですが、複数の証券口座を持つことで大小メリットがある点も見逃せません。
一体どういうことかというと、前述の通り、証券会社にはそれぞれ取り扱う商品が異なり、得意とするジャンルもまた然りです。自身が投資したいという銘柄が凝縮されている証券会社が一社あれば問題ありませんが、投資に慣れていくと、様々なジャンルの企業や銘柄に興味を持つことになります。
ご自身の投資目的に適した環境を構築していきたいと考えた際、一社一口座だけでは手狭になってしまうことも大いに考えられるでしょう。複数口座を持つメリットをまとめると・・・
①購入できる商品の選択肢が広がる
②システムトラブルに見舞われた際に対処しやすい
③家族で複数口座を持つと優待が受けやすくなる場合がある
などのメリットが挙げられます。
①は先述の通りで、大事なのは②です。
例えば、何らかの事件があったことによって市場の動きが活発になった場合、取引が増えてシステムに負荷がかかってダウンしてしまうなんてトラブルもあります。
その際にタイミング悪く値上がりして売りたい銘柄が出てきたとしても、複数口座を持っておくことで無事に取引できたなんてことも珍しくありません。実際、2020年にはSBI証券などのネット証券3社で、システム障害によって取引ができなくなった例があります※。
このケースでは、該当するネット証券3社のうち、SBI証券は自社が起因ではないケースの為、補填はしないと発表しており、同証券会社に口座を持つユーザーからは広く反発が起きたということです。こういったリスクを事前に回避する為には、口座を開設する前にしっかりと定義について把握しておくことや、別の証券口座を持っておくなどの手段を講じる必要があるでしょう。
そして最後に③について。家族で複数口座を持つことで株主優待が受けやすくなるケースがあり、例えば100株所持していれば優待を受けられる会社があるとしたら、1人で200株持っていようが、300株持っていようが得られる優待は1人分になります。
しかし、その300株を家族分の口座で分け、1人につき100株所持という形態に変えると、一世帯で3人分の株主優待が受けられることになるのです。中には優待制度のない会社や、優待の定義が異なる会社もあるので、事前確認が必須です。
※出典先:「ITmedia News」より
仕組みはOK!でも、一体いくらで何を買えばいい?
購入する株を選ぶコツ①〜自分の知識に頼る〜
いざ株を購入してみようと思い立ったものの、一体どこの株を買えば良いのかわからない。株式の概念や買い方はわかっても、銘柄を選ぶのは自分次第です。投資ビギナーがまず躓くポイントはココだったりします。誰もが知っている大企業の株は高くて買えないから、成長性があってあまり知られていない会社をネットで調べ、何となく選んで購入するというのがよくあるパターンです。
考え方は悪くないと思うのですが、慣れてしまうと結局他力本願で銘柄を購入し続けるしか手段がなくなってしまいます。そこでおすすめなのが、『ご自身の趣味や好みに合う商品やサービスを提供している企業』に投資することです。
例えばよく食べる食品を作っている会社や、よく使うアプリを開発している会社など、身近で馴染みのある企業をヒントにすることで、簡単に銘柄を選ぶことができます。
購入する株を選ぶコツ②〜成長株・割安株から選んでみる〜
前項では、身近な企業の株式を選んでみるというコツを紹介しましたが、次は業績と株価から購入すべき銘柄を選ぶ方法を紹介していきます。
選ぶべきは『成長株』と『割安株』の2つ。
個々に解説していくと、『成長株』とは売上高や経常利益が大きく増加し、今後もその流れが見込まれる株式のことです。簡単に言えば流行の業種や、世界に通用する高い技術レベルを持つ企業などが該当することが多いと言われています。
一方『割安株』というのは成長株と逆に業績などの基礎的要因が良いにも関わらず株価がさほど高まっていない状態の株式のことを言います。つまり、上昇するポテンシャルを秘めたお宝株といったところでしょう。
購入する株式を決める際には、その点に注目して選んでみることをおすすめします。
購入する株を選ぶコツ③〜株式市場をチェックする方法〜
株式を購入したら、次は何をするべきでしょうか?
当然、ご自身が購入した株式の『株価』をチェックしなければなりませんよね?
株価をチェックするには、新聞かインターネットを使うのが主。口座を持っている証券会社のホームページや、yahoo!などのポータルサイトで株価のページを開くことで確認できるでしょう。
また、各証券会社のホームページで株価を確認する際は、調べたい銘柄を検索することで、現在値とチャートを見ることができます。
なお、証券会社によって使い方や調べられる内容は異なりますが、中には株価だけでなく会社の業績なども調べられるところもあるようです。
株式投資の銘柄選びについては、株式投資における最初の関門「銘柄選び」で失敗しない超シンプルな方法を紹介でも解説しています。
おわりに
未経験者が投資を敬遠する最大の理由は、「敷居が高いと感じるから」なのだそう。
とりわけ株式となれば、専門用語の多さや難解さ故、余計に取っ付きにくさを覚えるでしょう。
また、前述した様に、いきなり株式を購入することに対して不安を覚えるなら、まずは単元未満株(単元株制度において1単元に満たない数の株式のこと)から購入してみるなど、リスクを抑えた投資から実践してみるのもおすすめです。
さらに、より株式について深く知りたい、勉強したいと望むなら、実践前に投資スクールへの入校を考えてみてはいかがでしょうか?